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 ハインケルのHe111、ユンカースのJu88、ドルニエのDo17の3機種は、優れた四発重爆撃機を持たなかったドイツ空軍にとって、主力となった双発爆撃機トリオであった。爆撃任務以外の用途タイプも派生型として多く開発され、偵察哨戒機、輸送機の他に、夜間戦闘機、雷撃機、対戦車攻撃にまで使用されています。

 3機種とも、第一次世界大戦の敗戦によるドイツ航空作戦禁止制限によって、ルフトハンザ航空の旅客機開発を隠れ蓑にして設計が開始された機体で、高速を活かした爆撃をコンセプトに、双発ながら小型軽量な設計である。また搭乗員配置は胴体側部や尾部には配置せず一貫して機首に集中させているのがドイツ爆撃機の特徴です。
 結果的に開発時点での速度重視コンセプトは、戦闘機の進化も著しく高速爆撃機の優位性はすぐに失ってしまう事になります。
 バトルオブブリテンでは味方戦闘機の護衛を満足に得られず損害を多く出し、東部戦線では航続距離や爆弾搭載量に悩まされ、広大な戦域をカバー出来ずに苦戦をし続けながらも、後継機種の量産化がうまく機能せずに終戦まで酷使された機体達でありました。Ju88なんて本来は爆弾搭載を少なくして高速を活かしたピンポイント攻撃(戦術爆撃)に使われるべき機体設計であったのにも関わらず戦略爆撃任務に出撃し損失を増やしていきました。

 上図に3機種の爆撃任務に使用された主要タイプの性能諸元を表しました。それぞれエンジン装備などサブタイプが多いのだが、その生産量から見て主力となったタイプを左から順に表記してみました。表を見て判るとおり、Ju88がもっとも優秀で、やはり総生産機数も飛びぬけています。 He111は1935年初飛行し総合力でJu88に劣りながらも、航続能力が高い為、バトルオブブリテンで最も多く出撃したんですね。
 Ju88は1936年末に初飛行し当初よりマルチ双発機として開発されたため急降下爆撃もこなす能力を持っていました。

 Do17は初飛行が1934年に初飛行と最も早く、双発爆撃機としてはエンジンには非力さを感じます。スペイン内乱では活躍したが大戦突入時にはバージョンUP型のDo217が部隊配備準備中でありました。しかしこのDo217は胴体最後尾に装備したエアブレーキに不都合が生じて実際の配備は遅れる事になります。

 とにかく、他に頼る機種がなかった第二次世界大戦前半は、この3機種を大量に生産して数でカバーしようとした見たいです。バトルオブブリテンではJu87スツーカーと合わせた4機種が大量に損失していますが、ノルマンディに上陸されてからも余剰爆撃機としてミステルの母艦に改造されたり、V1発射母艦としても使用されています。

 ドイツには中期以降、他にも双発爆撃機があったじゃないか! そうです、Ju88はJu188、Ju288とバージョンUPして行きます。Do17もDo217、Do317とバージョンUPしていきました。でも、英米の四発重爆撃機に戦略爆撃を受けだしたドイツ航空機産業はそのバージョンUP版を満足に量産化出来ず、戦局的にも双発爆撃機を有効に作戦投入出来るものでは無くなって来ています。

 しかしHe111を開発したハインケル社は、バージョンUP機種を作らなかった。「なぜ?」って、四発重爆撃機のHe177を必死になって実用化させようと頑張っていたらしいです。らしいと言うのは、その合間にHe176というロケット機を作ったり、He219ウーフという量産に向かない夜間戦闘機を作ってドイツ航空省から反感をくらってましたから。
 
 

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